デザイナーの言語化能力って?定義づけます【←言語化のポイントも解説】
”できるデザイナー”のほとんどはデザインの言語化が得意。
これはディレクターとして現場に立つ中で身を持って経験したどり着いた事実です。
そして言語化能力に長けているデザイナーは、スキルアップも早いし、お給料もたくさんもらっています。
今回はデザイナーにおける言語化能力とはなんなのか?さらになぜ言語化が必要なのか?という観点から記事を書いていきますね。
目次
1. はじめに:デザイナーの言語化能力とは?
デザイナーの言語化能力とは、デザインをいかに納得できる言葉によって表現できるか、その力のことだと考えています。
例えばAというデザインを作ったなら、なぜそのAに至ったのか?をクライアントの課題感や客観的な事実を元にして、ちゃんと理由付けできるかということ。
- ・「なぜ暖色をメインで採用したのか」
- ・「どういった意図で、このロゴには星のモチーフを使用しているのか」
- ・「なぜ丸ゴシックを使ったのか?」
こうしたひとつひとつの「why」を正確に言葉化して、妥当性のあるデザインにしていくわけです。
2. なぜ言語化能力が必要なの?【言語化能力の重要性】
「デザイナーはビジュアルで表現する職種なのに、なんで言語化する必要があるの?」
こんな疑問を持つデザイナーもいるかもしれません。
ここではどうしてデザインに言語化が必要なのか、その点をこれまでデザインの現場で経験から、その重要性を伝えていきます。
- クライアントを納得させる必要があるから
- デザインの共通言語化=プロジェクトを正しい方向に進めるため
- 修正地獄にならないため
- キャリアアップするため
クライアントを納得させる必要があるから
僕の経験上、クライアントのほとんどはデザインに詳しくありません。
だからデザインに対して自己の主観をめちゃくちゃ入れてくるケースが多々あります。
例えば「うちの社長的には可愛いよりおしゃれな方が好きなんです」とか「Aさんはこういってて、Bさんはこういってて、どっちが良いと思いますか?」というふうに。
こういう方々を説得するには、デザインの意図をしっかりと言語化していく必要があります。
なぜならどうしてこのデザインが良いのか?という基準を明確にしてあげないと、クライアントは作ったデザインの良し悪しを判断できないからです。
つまりデザインの素人であるがゆえに、デザインのプロであるこちら側が意思決定できるようにしてあげないといけないのでう。
僕の経験上、こうした点を理解せずに「ビジュアル的に可愛いよね。素敵だよね」と感覚的な言葉でデザインを評価するデザイナーが多いです。
でもそんな感覚的な言葉で、クライアントを納得させられません。むしろ「私は素敵だと思いませんよ」というクライアントなんてザラにいます。
だからこそ、クライアントにデザインの意図を細かく説明してあげることで、クライアントに判断基準を与えて、「納得させる」のに必要なのです。
デザインの共通言語化=プロジェクトを正しい方向に進めるため
デザインは感覚的であるがゆえに、どうしても見た人の想いだったり、意見だったりと主観が入り込んできます。
例えばデザインは「若いAさんにとってはかっこいいけど、中年のBさんにとってはちょっと流行り乗っかりすぎている」というふうに。
だからこそ、それぞれの人が持つ考えや期待するイメージを言語化してあげることで、目指すべき方向や考え方が統一されて、クライアントや他のチームメンバーなど全員が同じ目標・認識でプロジェクトを進めることができます。
つまり、言語化によってプロジェクトの中心となる”旗印”を立てて、皆に同じ方向を向いてもらうように仕向けるわけです。
そうすれば事あるごとに旗印に立ち返ることができるので、たとえなにか議論が生じたとしても、同じ目標に向かっていることには違いないので、大きな認識の違いは生まれることがなくなるので、プロジェクトを正しい方向にへ効率的に進めることができます
修正地獄にならないため
これも割と重要です。
デザインは初稿を出したあとにかならず修正、という作業が発生します。
例えばクライアントから「文字が読みにくいので色を変えてほしい」という修正依頼があったとき。言語化できないデザイナーだったら指示通り、文字色を変えると思います。でも修正したあとに、再度クライアントに修正案を見せたら、「やっぱり色を変えるのは変だったから、文字色は一個前のままで今度は文字を大きくしてください」という指示があったります。
注意してほしいのが、上記のようにクライアント主導でデザインを進めていると、まじで修正回数は膨れ上がってきます。
では修正の繰り返し地獄を回避するためにどうするべきなのか?
それは「文字が読みにくいので色を変えてほしい」という最初の依頼のときの対応です。
そもそもクライアントはデザインに詳しくないので「感覚的に読みにくい」となんとなく感じているだけです。つまり具体的なイメージはついていないケースがほとんどです。
だからデザイナーがすべき対応としては「修正の方向の具体化」です。
例えば「文字が読みにくい」というのは、
・文字色
・フォントサイズ
・背景色とのメリハリ
・近くの情報とのメリハリ
など分解すれば原因はたくさん考えられます。
だから修正を依頼があったときに、どの原因で読みにくい感じているのかをちゃんと言語化してあげるべきなのです。
このようにデザインあるいは修正の意図や背後にある理由を明確にしておくことで、クライアントと認識をすり合わせて、修正に必然性を与えることができます。
その結果、無駄な修正が減り、いわゆる修正地獄に陥ることもなくなります。
キャリアアップするため
言語化能力の高さは、今後デザイナーとしてキャリアアップを目指すにはマストの条件です。
まず言葉によってデザインアイデアや提案を的確かつ分かりやすく伝えられる、言語化できないデザイナーと比較すると圧倒的に「上流工程」で活躍できます。
実際に僕もデザインが単に上手いデザイナーではなくて、ちゃんと言葉でデザインを説明できるデザイナーのほうが信頼感をもって仕事を依頼できます。
3. デザインの言語化のポイント
デザインの前に言語化する癖をつける
デザインの言語化を身につけるために、最初からデザインを作り始めない、ということを意識してください。
つまり「言語化→デザインをつくる」というデザインプロセスをベースにするようにしましょう。
具体的には、目的・課題やターゲットの整理、そして課題をどうデザインで解決するか?を「コンセプト」として表現します
というのも、言語化を最初にしてあげることで、デザインの曖昧さがなくなり、デザインに必然性をあたえることができるからです。
「この配色にしたのは、このデザインコンセプトに基づいているからです」
「このフォントにしたのは、今回のターゲットである若い層には好んで使われるケースが多いからです」
というように。
世の中には圧倒的にデザインを作ってから、後付けでコンセプトを作るケースが多いと思っています。
そもそもデザイナーは自分で想いを言葉にして説明するのが苦手な方が多いから。
デザインカウンセリングはマスト!=曖昧な言葉は定義づけを
デザインでは「クールにかっこいい感じで」「可愛らしい」など曖昧な形容詞を使って、言葉が一人歩きするケースがあります。
こういった言葉はどれもこれ抽象的で、「クール」という言葉は人それぞれで捉え方が異なります。
だからデザインをする前には、まずクライアントに参考デザインなどを見せて互いの感覚的なすり合わせを行うようにします。
「このデザインを見たときにはどんな印象がありますか?」
「配色の印象はどうですか?」
「線の細さや太さについてはどうですか?」
要はカウンセリングするイメージです。
客観的事実を元にする
もしデザインに必然性をもたせた無いなら、「客観的事実」を根拠にデザインをすると説得力が増します。
客観的事実とは例えばユーザビリティに関するガイドブックや研究結果ですね。
例えば、政府のデジタル庁が出している「アクセシビリティ」に関するウェブアクセシビリティ 導入ガイドブック。
ここには例えば「音声を自動再生することや強制的に再生させることは避けましょう。」という記述があります。
こうしたガイドブックに基づいて説明していくことで納得させることができます。
その他に配色の視認性については、対象となるユーザーの視力や色覚に配慮した配色、あるいはストレス軽減させるために、青色はリラックス効果があるという心理学的な研究に基づいた配色の選定が有効であるといった
クライアントが依頼時に使った言葉を使って説明
打ち合わせ(デザインカウンセリング)の際に、クライアント自らが使った言葉をしっかりメモっておき、そこから言語化するのもひとつの方法です。
例えば、クライアントが「ユーザーには親しみやすさを与えたい」「楽しげな雰囲気も大事だけどちゃんと信頼感を与えたい」などです。
実はこうした言葉から言葉からビジュアルを連想していき、デザインに落とし込む作業は言語化に非常に重要なんです。
なぜならキーワード単位でも「クライアントが考えているイメージ」であるわけなので、
なので打ち合わせの場面では「ターゲットに対してどんな印象を与えたいか?」というふうにキーワード単位でブレストしていくと、割と方向性が見えてくることがあります。
ここで重要なのは、キーワードを複数あげてもらうようにすることです。
言葉が複数あればその分「曖昧さ」がなくなるからです。
「かっこいい」だけだと解釈の仕方はたくさんありますが、「落ち着いた」「品質が良い印象」「職人がかっこよく見えるように」などあげていってもらうと、解像度があがっていくからです。
そしてデザインを説明するときには、打ち合わせの場出でた言葉を用いるようにします。