サブブランド戦略とは?ブランドを分けるか迷っている方は必読!【事例あり】
目次
ブランドを分けるべきか否か?【実際のお悩み】
クライアントから以前こんな相談をされました。
「これまでプロ仕様のまな板ばかり売っていた。そっちはだいぶ売り上げが安定してきている。
だから次は消費者向けのまな板のオンラインショップを新しく立ち上げようと思っている。でも価格帯が安いラインナップだからターゲットが違う。だからブランドを分けて一般消費者向けのラインナップを揃えていこうと考えているがどうか?」
価格帯が異なるなら、分けよう!【解決策】
僕はその時、「もし商品ターゲットが異なるなら、ブランドは分けたほうがいい」と伝えました。
その理由であげたのが、「ターゲットが求めているものが異なるから」です。
そもそも一般消費者とプロ仕様で求めるまな板は、好みやニーズが全く異なっていますよね。
たとえば、一般家庭のほとんどはまな板一つにそこまで予算をかけたくないと思っています。そして求めるのは「忙しくて手入れを簡単に済ませたい」だったり、「省スペース性」だったり。要は「使い勝手」。
だからブランドとしては『低価格帯』かつ『使い勝手の良さ』にこだわるまな板を揃えた方が、買われる確率が高まります。
ここで大切なのは、一般消費者は高価格帯(例えば5万円とか)はほとんど買わない視点。
高いまな板を買うのは、プロの料理人や料理愛好家。彼らは料理の専門家ですから、少々高くても良いまな板を買います。商売道具ですから。求めることも、刃当たりの良さ、包丁の切れ味がながもするかなど。つまりターゲットニーズが違うんです。
このように売る商品の価格帯によっては、売る相手=ターゲットが異なるため、彼らが求めるニーズも交わらないケースが多いです。
上記があるから今後商品展開をしていく前提で考えた時に、「高価格」と「低価格」とでブランドを分けてあげた方がいいと伝えました。
サブブランド戦略とは?
これまでの話は、つまり、サブブランド戦略のことです。
サブブランド戦略とは、企業やブランドが既存のブランドのイメージやポジショニングを保ちつつ、異なる市場や顧客セグメントに向けて新しいブランドを立ち上げる戦略です。
要はつまりメインブランド(親ブランド・既存のブランド)の下に独立したブランド(サブブランド)を作り出すことで異なるターゲット市場やニーズに合わせた製品やサービスを提供することができるのです。
今回の例で言えば、より安価かつコンセプトが異なる、セカンドラインを作ってあげて、それによって市場領域を広げていく戦い方です。
売り相手が異なるので、既存ブランドで商品ラインナップを広げていくよりも、長期的な目線で考えた場合は、おもいきって新しいブランドを作った方がいいのです。
サブブランド戦略のメリット
各ブランドのポジショニングの適正化
サブブランドは、既存のブランドからはっきりと異なるブランドとなります。そのため先程の例で言うなら一つのブランドに「プロ向けのイメージ」「一般消費者向けのイメージ」とが混同されることがなくなります。
つまり、既存のブランドのイメージやポジショニングを保持しながら、別の新しい特定の市場セグメントに焦点を当てることができます。
新規市場への進出
サブブランド戦略は、異なる市場やセグメントに向けたブランドの展開により、顧客の幅広いニーズに応えることができます。
ニーズに応えることができれば、既存のブランドがターゲットしていなかった新しい市場や顧客層への進出できます。
市場や競争の激化に対応=リスク分散
時代や環境の変化によってユーザーの欲求は変化し、当然ながらニーズが変わっていきます。
サブブランドで新しい市場へ展開できれば、たとえメインブランドのイメージが受け入れられなくなり売れ行きが悪くなったとしても、別の市場で戦うこともできす。
だからある意味で、リスク分散という意味でも重要です。
メインとサブの相乗効果!
また既存のブランドとの相乗効果やクロスセリングの機会もあります。
例えば、高級ブランドが一般消費者向けの低価格製品を提供する場合、結構話題になると思います。
つまりサブブランドを展開することで、逆にメインブランドのイメージを高めることもできるのです。例えば一般層に幅広く受け入れられたとしたら、「実は伝統の技がメインブランドから受け継がれている」というようにです。
メインブランドとの関係性は保持しようね【⇦これは覚えておこう】
「セカンドラインのブランドは、メインブランドとの関係性はそこまで強調しなくてもいいの?」
このような疑問があるかもしれませんが、サブブランド戦略でとても重要なのは、メインブランドとのつながりや関係性をしっかりと保つことです。
つまり、メインブランドの保証の下、個別のサブブランドをアピールしていこう!と言うこと。
理由としては、メインブランドのネームバリューやブランド価値というものを引き継いだ方が、ブランドの価値観や品質に対する信頼を継続しながら、新しいサブブランドの特性や魅力を引き継げるからです。
サブブランドの事例
ファッション系
ファッション系で有名なブランドは結構、ハイブランドよりも安価でカジュアルなセカンドラインを作っています。
例えばミュウミュウ。プラダのサブブランドとして、より若い世代向けのファッションアイテムを売っています。またヴァレンティノのサブブランドであるレッドヴァレンティノは、若者をターゲットにしたエッジの効いたデザインやカジュアルなアイテムを展開しています。
星野リゾート
1914年に温泉旅館として開業し、100年以上の歴史がある日本の高級リゾートホテルチェーン「星野リゾート」。誰でも一度は耳にしたことがあって、人生で一度は宿泊してみたい旅館として上位の常連です。
さて星のリゾートも同じ「宿泊」という点でサブブランドを展開しています。
例えばひとり旅を楽しむ人のための宿「OMO」(オモ)。OMOは、気軽にひとり旅を楽しむ人々をターゲットにしたサブブランドです。シンプルでモダンなデザインの客室や共有スペース、ローカルな体験プログラムなどが特徴。
また自然体験を重視した「ホテルリゾナーレ」。リゾート地や自然環境に特化したホテルブランドで、自然に囲まれたロケーションや、アウトドア活動、温泉などの自然体験を提供していますね。
それ以外にも「界」や「BEB」だったりと複数のサブ・ブランドを国内外に展開しています。
レクサス
実なレクサスもサブブランド。トヨタの高級車ブランドのサブブランドとして展開しています。
レクサスは、高品質な車両、革新的なテクノロジー、快適性に重点を置いたプレミアムなブランドイメージを形成しています。
トヨタが一般向けの車を提供する一方で、レクサスは圧倒的にお金持ちをターゲットにしています。
Apple社
Appleは「iPhone」「iPad」「MacBook」「Apple Watch」と本当に多岐にわたるラインナップを提供しています。
各々が強力なブランドである一方で、アップルのメインロゴをつけることで、世界観の統一性と一貫性があり、全製品に影響力を保持しています。