Webタイポグラフィとは?さまざまな基準・ルールをご紹介!

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Webタイポグラフィとは?

Webタイポグラフィとは、Webサイトにおけるテキストの視覚的な表現と配置に関する技術と原則の総称です。これには、フォントの選択、サイズ、行間、文字間隔、配置などの要素が含まれます。Webタイポグラフィの目的は、読みやすさ、視認性、美しさ、そしてブランドアイデンティティを効果的に伝えることにあります。

ビジュアルとしてのWebタイポグラフィ(美しさ)

タイポグラフィを視覚的な要素として捉え、美しさや独創性を追求する方向性です。フォントの選択、配置、組み合わせなどを通じて、ブランドイメージや感情を伝えることを目的としています。芸術的な表現や実験的なレイアウトにも挑戦し、視覚的なインパクトを与えることを重視します。

読みやすさとしてのWebタイポグラフィ(視認性)

タイポグラフィを情報伝達のツールとして捉え、読みやすさや視認性を追求する方向性です。適切なフォントサイズ、行間、行長、コントラストなどを設定することで、ユーザーがコンテンツを快適に読み進められるようにすることを目的としています。アクセシビリティにも配慮し、あらゆるユーザーにとって読みやすいテキストを提供することを重視します。

Webタイポグラフィのさまざまな基準を紹介【視認性UP】

ここでは様々なWebタイポグラフィのルールについて、文字サイズ、行長と行間、文字詰め、文字サイズの比率の観点から詳しく説明します。

文字サイズの基準

本文のフォントサイズは、読みやすさを確保するために十分な大きさを選択します。一般的に、16pxから18pxが推奨されます。 見出しのフォントサイズは、本文との視覚的な階層を表現するために、本文より大きなサイズを使用します。 スマートフォンなどの小さな画面では、フォントサイズを適切に調整して読みやすさを維持します。

行長(ぎょうちょう)の基準

行長とは1行の文字数。読みやすさを考慮して設定するならば、一般的に、1行あたり30〜40文字程度が最適な行長とされています。 また、1行の最短としては13〜15文字程度が推奨されています。

行長が長すぎると、読者は行を追うのが困難になります。 目が行末から次の行の先頭に移動する際に、読んでいる行を見失いやすくなります。一方で行長が短すぎると、折り返しが多くなったり、数字やアルファベットの場合日本語の文字とは異なる幅を持っているため、短い行では不自然な空白ができたりします。

行間の基準

行間は、テキストの行と行の間の垂直方向のスペースを指します。 一般的に、150〜200%の行間が推奨されます。 行間を適切に設定することで、読者がスムーズに行を追いやすくなります。

CSSでは、line-heightプロパティを使用して、line-height: 1.5〜2.0に設定します。

ちなみにフォントサイズと行間は密接に関係しています。 フォントサイズが大きい場合は、行間を広めに設定する必要があります。これにより、行間に十分なスペースができ、テキストの視認性が向上します。 逆に、フォントサイズが小さい場合は、行間を狭めに設定することで、テキストのまとまりを維持できます。

文字詰め(字間)

文字詰めは、文字間のスペースを調整することで、テキストの視覚的なバランスを整えます。 日本語の場合、文字詰めを調整することで、テキストの密度を適切に保ち、読みやすさを向上させることができます。

文字間隔の目安としては、文字サイズの5%~10%が目安とされています。

CSSでは、letter-spacingプロパティを使用して文字詰めを調整します。letter-spacing: 0.05em〜0.1em。(emとは現在のフォントサイズに対する相対的な比率)

コンテンツ幅の目安

文章コンテンツの幅は、読みやすさを確保するために適切な範囲に設定する必要があります。

一般的な目安として、640pxから900pxの範囲が推奨されています。

フォントサイズが16pxの場合、640pxのコンテンツ幅には最大40文字程度が収まります。 文字間の間隔を考慮すると、実際には35文字程度が読みやすい文字数とされています。

フォントサイズが大きくなると、それに応じてコンテンツ幅も広げる必要があります。 例えば、フォントサイズが18pxの場合、最適なコンテンツ幅は640pxよりも広くなります。 ただし、コンテンツ幅を広げすぎると、視線移動が大きくなり、読みにくくなる可能性があります。 最大でも900px程度を目安に設定することが推奨されています。

Webタイポグラフィのルール

最適な行長と行間の組み合わせ

一般的に、行長が長くなるほど、行間を広くする必要があります。行長が短くなるほど、行間を狭くすることができます。

最適な行長は、1行あたり45〜75文字程度とされています。この場合、行間は本文のフォントサイズの1.5倍程度が適切とされています。例えば、本文のフォントサイズが16pxの場合、行間は24px程度が適切です。

十分なコントラスト比を確保しよう!

アクセシビリティの観点からテキストと背景のコントラスト比を確保することは非常に重要です。十分なコントラストがあることで、視覚障害者を含むすべてのユーザーがテキストを読みやすくなります。

Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.1のガイドラインによれば下記のように定められています。

  1. 小さいテキスト(18pt未満、または14pt未満の太字):コントラスト比が少なくとも4.5:1であること。
  2. 大きいテキスト(18pt以上、または14pt以上の太字):コントラスト比が少なくとも3:1であること。

これらの基準を満たすことで、テキストが背景から十分に際立ち、読みやすくなります。日本語の場合は、全角文字の特性を考慮し、「大きいテキスト」の基準を22pt以上、または18pt以上の太字とするのが妥当でしょう。

見出しと本文のサイズ比(=ジャンプ率)

見出しと本文の文字サイズの比率は非常に重要な要素です。適切な文字サイズの比率を設定することで、情報の階層構造を明確にし、読者がコンテンツを理解しやすくなります。

見出しと本文の文字サイズの比率は、pxで指定してあげるより、「倍率」で表現してあげると良いです。なぜなら、倍率で表現することで、見出しと本文の文字サイズの関係を直感的に理解できるからです。 例えば、「大見出しは本文の2倍」と表現すれば、大見出しが本文に対してどの程度大きいかが一目で分かります。 pxで指定する場合、具体的なサイズの差を計算する必要があり、直感的な理解が難しくなります。またWebサイト全体で一貫した比率を維持しやすくなります。 本文のサイズが変更された場合でも、倍率を使用していれば見出しのサイズも自動的に調整されます。 pxで指定すると、本文のサイズが変更されるたびに見出しのサイズも手動で調整する必要があります。

見出しと本文の文字サイズの比率は、通常1.5倍から2倍程度が推奨されています。例えば、本文が16pxの場合、見出しは24px(1.5倍)から32px(2倍)程度が適切とされています。

  1. 本文(基準サイズ)
    • 16px
  2. 大見出し(h1)
    • 32px(本文の2倍)
  3. 中見出し(h2)
    • 24px(本文の1.5倍)
  4. 小見出し(h3)
    • 20px(本文の1.25倍)

この比率は、情報の階層構造を明確に表現しつつ、読みやすさも維持できるバランスが取れた値です。

細い文字や文字間を広げた場合

細い文字や小さい文字は、文字の形状や細部が繊細であるため、視認性が低下する傾向があります。 文字間を通常より広めに設定することで、文字同士の距離を確保し、読みやすさを向上させることができます。

CSSのletter-spacingプロパティを使用して、文字間を調整します。例えば、letter-spacing: 0.05em;のように指定することで、通常より5%広い文字間を設定できます。

文字間を広げた場合、それに合わせて行間も広げる必要があります。 文字間が広いにもかかわらず行間が狭いと、横方向のラインが認識しづらくなり、読者は読んでいる行を見失いやすくなります。

文字間と行間の調整方法は以下の通り。

  • CSSのletter-spacingプロパティを使用して、文字間を調整します。
  • 同時に、line-heightプロパティを使用して、行間を調整します。
  • 文字間を広げた分、行間も比例して広げるようにします。
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Hee

地方でWebディレクター。コンセプトメイキングや情報設計を含めて上流工程から制作業務に携わっています。コーポレートサイト、ECサイト、自治体サイト、ブランドサイト、グラフィックなど他ジャンルを経験。多いときには20案件をもつことも。デザインメンターでは複数のデザイナーに対するデザインディレクションの経験、ブランディング提案の経験から学んだことを発信しています。