あなたは人から評価される環境に身を置いてますか?【反脆弱性の高いデザイナーになろう】
こんな人を読者で想定!
- 制作会社に最近入社してデザイナーとしてのキャリアを歩み始めている。
- 実務経験が少なく、プロの評価に不安を感じている。批評を受ける機会が限られている。
- デザインはある程度できるんだけど、なんか成長が止まっているなあ、と思っている
- 独学でひとりデザイナー→孤独な作業環境で客観的な評価を得る機会が少ない。自己満足に陥りやすい。
目次
デザイナーとして成長したいなら積極的に「評価」されにいこう!
あなたがもしデザイナーとしてもうワンランク上を目指したい!なら、フィードバックを受けられる環境づくりがめちゃくちゃ重要です。なぜなら自分のデザインは自分が作ったため、「これはいいデザインか?」を冷静に判断できないからです。
常にフィードバックを受けられる環境では、自分の作品を客観的に評価し、改善点を見つけることができます。
批判されたくない!という拒否反応が、成長の停滞を招く。
デザイナーのなかには「誰からも批評されたくない!」と思っている人がいます。僕の周りにもフィードバックすると、あきらかな不機嫌になる人もいます。ときには「だって〇〇なんで」と言い返してくる人も・・・。
この「評価を恐れる心理」は、心の自己防衛メカニズムですから当然です。
自己防衛メカニズムとは、個人が不安や脅威を感じる状況に対して無意識的に防衛反応として行動や言動が発動する心理機能。いわゆる「心の防衛反応」ですね。これはある意味で正常であって、自尊心を守りたい!心理的な安定を維持するためには必要です。
デザイナーの場合は、批評やフィードバックは、自分の作品や能力が他者から低く評価される事態でもあるので、自尊心を守るための本能的な反応とも言えます。
ただ、この態度は、短期的には心理的な安定をもたらすかもしれませんが、長期的には「成長の停滞」を招いてしまいます。
というのも評価を避けることで自分の弱点の認識する機会を逃すわけですから、成長のために欠かせない「改善点」を知ることができます。要は「自己満足に浸る」という被世間的な甘い陶酔状態。自己しか見えてないから、当然ながら客観的な自己評価能力も失われます。
さらに評価を恐れるあまり新しい挑戦を避け、安全で無難なデザインにとどまり続けることは、創造性の抑制にもつながります。なぜなら、新しいアイデア・アプローチは、しばしば批評の対象となるため、「守りたい」という防衛反応が、そういった挑戦を妨げることになるからです。
常にフィードバックを受けられる環境にはどんなメリットが?
01.客観的な視点からデザインを再評価してもらえる
デザイナーは、どうしても作品に対して主観的な思い入れが強くなってしまいます。そして自分の作品に対する愛着・思い入れは、ときとして、歪んだものの見方や作品を守る心理にもつながります。
だから良し悪しを冷静に判断することができないです。
だからこそ、批評は、まさに客観的な視点を与えてくれる貴重な機会といえます。他人の目にデザインを触れさせることで、自分のデザインが客観化され、自分の作品に対して適度な距離感を持つことができます。
そして他者の評価を通じて、より冷静で客観的な自己評価につながります。
- 自分だと当たり前だと思っていたけど、実は理解しづらかった
- 自分の意図が正しく伝わっていなかった
こうしてデザイナー自身では気づきかなった弱点や課題を、評価・批評を通して発見することができるわけです。
02.別の視点からデザインを新たに考えられる
同じデザインでも、人によって受け取り方や解釈が異なることがあります。ですから多様な視点を獲得できるというメリットもあります。
ここでいう多様な視点とは、デザイナーの専門家はもちろんですが、異なる分野や背景を持つ人々からの視点です。
例えばマーケター、経営者など、あるいは上司、同僚、友人などです。どれだけ辛い厳しい意見でも、それによって自分の作品を客観的に見つめ直すきっかけとしてとらえることが大事です。
様々な視点からのフィードバックは、デザイナーの思考の幅を広げ、思いもよらなかった方向性を示唆されることもあります。それによって、新しいアイデアやアプローチを生み出すきっかけにもなります。
【更に一歩進んで】「反脆弱性」からデザイナーの成長を考えてみる
反脆弱性とは、ナシーム・ニコラス・タレブという人が提唱した概念で、ストレスや問題などの外的要因にさらされることで個人や組織が強くなっていく性質のことです。
反脆さは耐久力や頑健さを超越する。耐久力のあるものは、衝撃に耐え、現状をキープする。だが、反脆いものは衝撃を糧にする
評価されるなんかは、まさに外的要因かつストレスですよね。そして僕が成長したいデザイナーにむけて提唱したいのは、「反脆弱性が高める環境」に身を置こうということです。
この「反脆弱性」という概念を受け入れることで、批評は恐れるものではなく、むしろ学びの過程として受け入れるもの。そして受け入れることが自分自身を強くし、さらなる成長へとつなげていくことになるのです。
「反脆弱性が高まる環境」とは?
反脆弱性が高まる環境とは、デザイナーが批評や評価を受ける機会を自ら作り出し、それらを積極的に受け入れることで「強さ」と「適応力」を獲得し、継続的に成長できる環境のことです。
この環境では、批評やストレスが避けるべきものではなく、むしろ成長のための貴重な資源として機能するのが特徴です。
レジリエンスを獲得し、さらにその先の成長を実現!
他者から批評されるというのはある意味でつらいと思います。なぜならデザインは創造性、感性、そして個性の表現であり、ある意味「自分の子供」(=腹を痛めて生んだ子供)です。それゆえ、批評を受けることは時として自分自身が否定されている気分にもなります。
反脆弱性を高める環境に身を置くことで、デザイナーは様々なストレス、批評、挑戦に晒されます。
この過程で大切になってくる概念がレジリエンス(耐える力)が鍛えられる点にあります。レジリエンスとは、困難や逆境に直面しても、それを乗り越え、適応し、成長する能力のことです。
そしてレジリエンスを獲得することが、反脆弱性のあるデザイナーにつながります。例えば:
- 厳しい批評を受けても落ち込まずに(レジリエンス)、その批評から具体的な改善点を見出し、次の作品に活かす(反脆弱性のあるデザイナー)。
- プロジェクトの失敗を乗り越え(レジリエンス)、その経験から貴重な教訓を得て、より大きな成功につなげる(反脆弱性)。
- 市場の変化にただ適応するだけでなく(レジリエンス)、その変化をチャンスと捉えて新たな価値を創造する(反脆弱性)。
このように、反脆弱性を高める過程で、デザイナーはまずレジリエンスを獲得し、そしてさらにその先へと進みます。レジリエンスが「跳ね返す力」なら、反脆弱性は「跳ね返して、さらに強くなる力」と言えます。
変化への適応力が高くなる
現代社会、特にデザイン業界は、まさに変化の連続です。技術の進歩、市場のトレンド、ユーザーの好みなど、あらゆる面で急速な変化が起こっています。このような環境下で、変化への適応力はとても必要。
レジリエンスがあり反脆弱性の高いデザイナーは、変化を脅威として感じず、変化に対して柔軟に対応でき、それらを成長の機会として捉えることができます。ようは変化を恐れずに積極的に新しいことに挑戦できる人材です。つまり長期的なキャリアの持続可能性にもぐっと高めるわけです。
(そもそも業界の最前線で活躍し続けるデザイナーは、反脆弱性が高いデザイナーともいえます)
反脆弱性の高いデザイナーの特徴【めちゃくちゃ大事!】
では反脆弱性の高いデザイナーを下記に記載しておきます。そしてこのようなデザイナーこそ、時代が変化してもちゃんと生き残っていくデザイナーです。
- 失敗を恐れない→新しいことに挑戦できる、変化に適応できる
- 批評を「成長の糧」と捉える→客観的な視点を取り入れられる、自分の弱みを克服できる。
- 積極的に作品を公開し、フィードバックを受けるよう!
- 変化を歓迎する→新しいトレンドを取り入れられる、常に進化し続けることができる
- ストレスに強い→集中力を維持できる、プレッシャーに負けない
- 困難を乗り越える力を持っている→諦めずに最後までやり遂げられる、問題解決能力が高い
- 常に学び続ける→常に新しい知識やスキルを身につけることができる、成長意欲が高い