「仕上がったデザインが、なんとなくイメージと違う……」
「修正を頼んでも、なかなか思い通りの成果物が上がってこない……」
デザイン依頼で、そんな悩みを抱えていませんか?
制作物を依頼する際、頭の中のイメージをデザイナーに伝えるのは難しいことです。具体的に指示をしたはずなのに、なぜか思い通りのものにならず、デザイナーへの伝え方に苦慮している方は多いのではないでしょうか。
しかし原因を知って伝え方のポイントを意識すれば、デザイナーとスムーズにコミュニケーションがとれて業務効率が上がり、イメージ通りのデザインに仕上がるはずです。
本記事では、デザインがイメージ通りにならない4つの原因と、上手な伝え方のポイントをご紹介します。
目次
1.デザインがイメージ通りにならない4つの原因
デザインがイメージ通りにならないおもな原因は、次の4つです。
その1:デザイナーに丸投げしている
自分にはデザインの専門知識がないからといって、すべてをデザイナーに丸投げしてはいないでしょうか。
打ち合わせの場で「デザイナーさんのセンスにお任せします!」などと言ってしまいがちですが、すべてをデザイナー任せにしていると、イメージ通りの仕上がりにはなりません。
デザイナーは、制作する目的や利用場面、ターゲットなどを考えたうえで、デザインを制作します。デザインはアートではなく、プロジェクトの目的に応じて最適化されるものだからです。そのためデザイナーのセンスだけに任せると、依頼側の意図をくみ取れず、思い通りのデザインにならない可能性が高いのです。
その2:伝えるイメージが漠然としている
「10代向けにポップな感じで」
「30代女性が好みそうなナチュラルテイストで」
「20代男性向けの、クールな感じに」
一見問題のなさそうな伝え方ですが、この場合も、デザインがイメージ通りにならない可能性があります。
なぜなら「ポップ」「ナチュラル」「クール」といった抽象的なテイストは、人によって受け取り方が異なるためです。ターゲットを明示するのはいいのですが、個人の感性で左右される漠然としたイメージで伝えると、自分が思っていたものと違う仕上がりになってしまいます。
その3:指示の意図が伝わっていない
具体的にイメージや指示を伝えたとしても、目的の意図が伝わっていないと、思い通りの成果物にならないかもしれません。
たとえば「ここのフォントサイズは20ポイントで、色は明るいブルー」と具体的に伝えたとします。デザイナーとしては「なんとなくバランスが悪いな」と感じても、指示された通りに制作するでしょう。そしていざ完成してみると、イメージしていたものと違う仕上がりになってしまった、ということもあるかもしれません。
具体的に指示をしたとしても、なぜそうしたいのかの目的の意図が伝わらないと、デザイナーは言われた通りにするのみになってしまいます。その結果、お互いのイメージが共有できずに、思い通りのデザインとならないことがあるのです。
その4:デザインに関する知識の差がある
依頼者側とデザイナー側で、デザインの知識に差がある場合も、注意が必要です。その知識の差を意識せずに打ち合わせを進めていくと、認識違いが生じてしまう可能性があります。
デザインに限らず、依頼者側のプロジェクトに関する知識の差も、デザインの良し悪しに影響するかもしれません。
お互いに「分かっているだろう」という前提で話をするのではなく、共通認識のガイドラインを作成するなど、知識の差を埋めることが大切です。
2.デザインをイメージ通りに仕上げてもらうための下準備
デザインをイメージ通りに仕上げてもらうためにも、次の準備をしておきましょう。
2.1プロジェクト内容の共有
プロジェクトの主旨や目的をデザイナーへ共有することは、イメージのミスマッチ防止になります。制作の目的、ターゲット、使用される状況などをデザイナーが把握しておけば、よりイメージに近いデザインが仕上がるはずです。
デザイナーの制作意図も理解しやすくなるため、修正が発生したとしても最低限で済むでしょう。
2.2デザインの方向性を固める
デザイナーへ丸投げしないためにも、デザインの方向性を固めておきましょう。どのような雰囲気にするのか、色味や形はどうするのかなどを決めて、イメージに近いデザインを探して提示できるようにしておきます。
頭の中のイメージを言語化して伝えるのは難しいことなので、見本や参考になるものを用意することでイメージが共有しやすくなります。
2.3イメージラフを用意する
デザインの方向性をもとに、イメージラフを用意しましょう。使用してほしい文言やレイアウトを視覚化すれば、より詳細にイメージを伝えられます。
イメージラフは、パソコンでしっかり作る必要はありません。紙にペンで描いたものでも、デザインで伝えたいこと、もっとも重要な要素といった優先度の高い情報が一目で確認できるため、デザイナーが意図をくみ取りやすくなります。
3.デザインを依頼する際の上手な伝え方・4つのポイント
実際にデザインを依頼する際に意識しておきたいポイントは、次の4つです。
3.1あいまいな言葉を使わない
「この文字を少しだけ大きく」というような、あいまいな言葉は避けるようにしましょう。「少し」のさじ加減は、人によってさまざまです。あいまいな表現で指示をすると、イメージ通りに仕上がらない可能性があります。「この文字を5ポイント大きくする」など具体的に伝えて、認識の相違を防ぎましょう。
3.2人の感性に左右される言葉に注意する
「クールな感じ」といった、人の感性に左右される言葉にも注意が必要です。人によって、「クール」から連想するものはさまざまあります。
たとえば「10代男性向けで、緑や青をベースとしたデザイン」というように、具体的にイメージできるように伝えることが大切です。
3.3イメージは参考や見本を用いて伝える
言葉だけで具体的なイメージを伝えるのは、難しいことです。そのため、参考や見本となるデザインを用いて伝えるようにしましょう。
たとえば配色について、カラーイメージスケールを活用すると、色から連想できる一般的なイメージをデザイナーと共有できます。具体的な言葉に視覚情報も併せれば、擦り合わせがしやすくなるでしょう。
またイメージに近い見本だけでなく「こうしないでほしい」というNG見本も準備しておくと、思い通りのデザインに近づけます。
3.4「なぜそうしたいのか」も伝える
デザインは感性頼りではなく、明確な意図をもって作られるものです。プロジェクトの主旨や目的をデザイナーが理解して、はじめて課題解決が実現できるデザインに仕上がります。
フォントサイズや配色の指定などをする際にも、「なぜそうしたいのか」という意図を説明することが重要です。
そうすればデザイナーも意図をくんだ提案ができるため、より洗練されたデザイン制作に向けた建設的な話し合いができるでしょう。
4.ポイントを押さえた伝え方でイメージ通りのデザインを仕上げてもらおう!
依頼した制作物がイメージ通りに仕上がらないのは、デザイナーとの間で依頼内容に対する認識の相違が起こるためです。デザイナーに丸投げしたり漠然としたイメージを伝えたりするのではなく、具体的な言葉と視覚情報を用いて共有することが大切になります。
修正を繰り返すのは、お互いに疲弊する原因となります。また修正に追加料金が発生するケースもあるため、そのようなリスクを避けるためにも、具体的かつ意図を明確にした伝え方を心がけましょう。