ブランディングとは?【概要から実践まで誰でも覚えるべき知識満載!】
まずはじめに質問。皆さんは自社の理念だったり、ビジョン・ミッション・バリューだったりを、お客様や社員たちに正しく届けていますか?
もしできていないのだとしたら、「ブランディング」をする必要があるかもしれません。
今回の記事はブランディングが体系的に学べるようにさまざまな記事を用意しています。
具体的には下記の3つに分けて説明しています。
- 概要編
- 実践編
- 知識編
- 「自社にブランディングの必要性を感じない」と感じている経営者や、ブランディングを実施していきたいデザイナーまで読めるコンテンツになっています。
目次
【一般編】ブランディングとは?
ブランディングとは、ブランド価値を定義し、それを応じてさまざまな活動を遂行し、消費者の頭の中に一定のブランドイメージを作り上げることです。
具体的には企業の「こう思われたい」という想いをひとつに統一させて、ブランドの価値として正しく伝え、継続的な“伝える”を通じて、顧客が企業・商品・サービスを思い描くイメージを定着化・一致化させる活動のことです。
企業が取り組むべきは、「企業らしさ」を設定し企業内活動において一気通貫でそのらしさを守り抜くことです。
ブランディングができれば、「他との差異化」=差別化を図ることができますよ。
>「ブランド力」とは?
そもそもブランドってどんな語源があるの?
ブランディングというのを、「ブランド」の語源から考えてみましょう。
「ブランド(BRAND)」は、北欧の古ノルド語で『焼き印をつける』という意味で「ブランドル(BRANDR)」が語源。
昔は牛を放牧することがほとんどで、何か印をつけないことには他の牛たちと見分けがつかなったかのです。
だから「自分たちの牛はこれだよ」と見分けるために『焼き印』をつけていたんですよね
要はブランドという言葉にはそもそも「他と区別する」というニュアンスがあるわけです。
だからブランディ ングとは、自社と他社との間に「区別をつけるための活動」と考えればいいんです。
ブランディングに欠かせないブランド9つの要素を覚えよう!
そもそもブランドを構成する要素はなんでしょうか。
下記に「ブランド」を組み立てている情報の7つの要素をご紹介します。
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- ブランド名・ネーミング:消費者が商品・サービスを識別するための名称
- ロゴ:視覚的なイメージを表すためのマーク
- ブランドスローガン:商品・サービスの特徴やメッセージを簡潔に表すフレーズ
- パッケージング:商品やサービスを包装する方法やデザイン
- 広告:消費者に商品・サービスを知らせるための広告
- キャラクター:商品・サービスを象徴するキャラクター
- ブランド価値:商品・サービスの信頼性や魅力など、消費者にとっての価値
【誤解】間違ったブランディングの考え方
続いてはあえて、ブランディングにおける間違った考え方・認識についてもご紹介します。
というのも僕は地方の経営者や広報担当者と話す機会がいろいろあるのですが、「ブランディングって大切なのでしていきませんか?」という話をすると、大体の方々が「ブランディング」という言葉から下記を連想するケースが多いからです。
- 綺麗なWebサイト・パンフレットを作ること
- おしゃれなロゴに変えること
- かっこいいクリエイティブでCMやキャンペーンを打ち出すこと
- CI(コーポレート・アイデンティティー)を作ること
- ビジュアル面を全部統一させること
これらは全て本質的なブランディングではありません。どれもブランディングする上の手段や工程にすぎません。
ブランディングとマーケティングの違いは?
https://sevendex.com/post/2065/
ブランディングとよく勘違いされる言葉としてはマーケティングがあります。
ブランディングは選ばれるようになる活動。
マーケティングは商品が売れる仕組みをつくる活動。
「企業や商品の存在意義を明確化し、その意義が生み出す提供価値を求めている人々に想起させること」
ブランディングの様々な定義に触れよう
世の中にブランディングの定義はさまざまにあります。
『ブランディングデザインの教科書』で有名な西澤 明洋さんは、ブランディングとは下記であるといっています。
「ブランディングとは、ある商品、サービス、もしくは企業の全体としてのイメー ジに、ある一定の方向性をつくり出すことで他者と差異化すること」 ※『ブランディングデザインの教科書』
つまりブランディングとはイコール差異化であると捉えておられて、もしブランディングの活動を通じて、「他社と差異化されていなかったらその仕事は失敗している」といっています。
またWikipediaでブランディングを調べる、下記のように書かれています。
ブランドに対する共感や信頼などを通じて顧客にとっての価値を高めていく、企業と組織のマーケティング戦略。
大阪の有名なブランディング会社トゥモローゲート株式会社さんはブランディングを下記のように定義していますね。
「企業が思い描いているイメージ」と「顧客が思い描いているイメージ」を一致させていく一連の活動。 ターゲットに対してその会社が絶対に裏切らない約束、つまり信頼や絆こそがブランドである
つまりブランドとは「顧客対して約束事そのもの」であり、その約束を企業は絶対に破れない誓いのようなものとして捉えています。そして顧客は企業から「約束」を長期的に守られることで、「あの会社〇〇だったよな、なんかいい感じだよな」という想起につながっていくという観点ですね。
ブランディングは「選ばれること」を目指そう!【目的定義】
さてブランディングの目的はなんでしょうか?
それはお客さまが「買う」や「行く」といった具体的な購買行動をする際に、「そういえば〇〇という企業・商品があったなあ」と強力な選択肢の一つとして選ばれることです。
例えばブランディング界隈で有名な「コカコーラとペプシコーラならどちらを買うか?」という話があります。
どちらも飲むものとしては「コーラ」ですよね。(味に多少の違いはありますが)
でもどちらの飲料メーカーを選ぶかは、買う人が「コカコーラ」と「ペプシコーラ」に対してもつブランドセイリエンス(心の中でブランドがどう想起されるかを示す傾向)によって左右されます。
つまりどちらかを選ぶのはその人次第であって、ブランディングというのは選ばれるための
そもそも世の中では「良いものなら売れる」ということはありません。
「良いものと知ってもらって初めて売れる」という考え方が大事。
ここで良いというのは、品質というよりは、顧客に対してベネフィットを提供する。
デザインメンターはこれをもっと分かりやすい言葉で**「らしさ」に共感してもらって「選ばれ続けること」**にあります。
顧客は「失敗せずかつ満足」を求めているを知ろう
では、お客様は何を基準に商品やサービスを選んでいるのでしょうか。
お客様は「なんとなく」「適当に」お店や商品を選んでいるわけではありません。衝動買いもありますが、それらには確固たる基準があります。
何が最も自分を満足させてくれるのか、そこにフォーカスしてお店や商品を選んでいるのです。
満足感とは、お店や商品にまつわるすべての要素が対象となります。デザインや肌触り、使い心地や味といった商品そのものに関する要素だけでなく、お店の雰囲気や商品につけられたロゴマーク、商品を入れる紙袋、店員さんの的確な商品知識、接客態度、商品にまつわるストーリー、そこを贔屓にしている有名人、信頼感や安心感……、これらの直接目に目えないものまでをひっくるめた満足感を求めているのです。
ブランディングの理想形は?
ブランディングの理想は、選ばれ続けるのを、「必然化」とすることです。
では選ばれる必然を作るにはどうしたらいいのでしょうか?
- 「唯一無二化させる」
- 「人から人に勝手に伝わっていく状態」を作る
「唯一無二化させる」
まず企業の存在価値を「唯一無二化」させることです。
さまざまな選択肢がある中で、「この企業じゃなきゃダメ」というくらい、高いロイヤリティがある状態が理想ですね。
そのためには選ばれたい顧客に対して、「なぜこのブランドがいいのか?」を明確すること。そしてその良さが他のブランドとは明らかな違いとなって表現されていて、かつ誰にでも分かりやすいストーリーとして語られるようにするべきです。
「人から人へ自然に伝わる状態」
ブランディングは「人から人に勝手に伝わっていく状態」にしていくと良いです。
ブランディングは伝言ゲームのように商品の本質的価値が人から人へと自然と情報が拡散するものだからです。
例えば今は商品やサービスを買う際に、友人や家族からの口コミを信頼する割合が高いですよね。
口コミによって自然に広まるブランドは、企業の一方的な宣伝よりも非常に説得力があって、魅力的に映る傾向があります。
なぜなら人々が自分自身でそのブランドを選んだという体験があるため、ブランドイメージがより強化されます。
このように、顧客が自発的に自分の経験や評価を共有することは、信頼性が高く、購買意欲にも大きな影響を与えます。
【実践編】ブランディングで何をするのか?
これまでブランディングの定義・概要について触れてきましたが、
「らしさだとかブランド力と言ってももっと具体的なことを知りたい・・・」
という人もいるでしょう。
ブランディングは概念的なニュアンスで用いられるケースが多いですが、そのようなふわふわとしたものではありません。ブランディングは経営戦略の一つですから、具体的な手法もあります
ブランディングは大きな流れで見ると下記の4つの流れがあると考えます。
【発掘】→【定義・約束化】→【発信】→【拡大】
それぞれ説明してきますね。
【発掘】ブランディングの第一歩は「ブランド価値の源泉を見つける」
ブランディングの第一歩は、まず根幹となるブランド価値の明確化です。
つまり自分たちの「存在意義を徹底的に問い直すこと」で、「らしさの源」を探し見つけ出すことから始まります。
存在意義は例えば下記のような質問から考えていきます。
-
- なぜこの事業をしているのか。
- 事業は誰のために存在しているのか。(顧客?社員?)
- 事業はその誰かに何を提供したいのか。
- どのように彼らの期待に応えることができるのか。
- 社会とはどのように関わっていくのか
- そしてもっと広い視点に立てば社会的・国際的にどのような存在意義があるのかというところまで考えることができます。
このようにブランディングとは「何のために」「なぜ」という”企業の根っこにある存在意義・使命”を正しく発掘することが大切です。
それは企業の歴史であったり、そもそもの企業文化、哲学という形で継承されてきたものであるかもしれません。
そういう部分の深い鉱脈を探し当てて、光に出してあげて理解し、整理することが大切です。
【定義・約束化】「ヨリドコロを創り、約束化する」
鉱脈を探し当て、存在意義を発掘した後は、その想いを整理して言語化・視覚化していきます。
自分たちのブランド価値を外に発信して共感してもらうことが必要だからです。
それを私たちは「ヨリドコロを創る」と考えています。
ヨリドコロというのは、企業活動をする上で常に立ち返るものとしての「企業の拠り所」という意味合いがあります。
一般的に「ブランドアイデンティティ」と呼ばれるものですが、この段階では企業が選ばれたい顧客に対して、「どうイメージしてほしいか」という観点から、「自社のブランド価値」を定義します。
この段階でのブランド価値の定義こそ、これから会社がどういう考えをもって、どこへ向かっていくのかを指針となります。
そしてそれは、例えば下記のようなものとして明文化し、社内外へと約束化します。
- MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)
- CI(コーポレートアイデンティティ)
ブランドステートメント・ブランドスローガン
注意点!
ブランド定義において表面的はNG。あくまで深い理解に基づいたものでなければなりません。
また抽象的なのもダメです。つまり解釈する人によってさまざまな解釈が可能なものです。
今後のブランディングを進めていく上で、「ブレ」、顧客のブランド理解のばらつきを招く恐れがあるためです。
https://designmentor.jp/knowledgenote/brand-statement/
【発信】→みんなに広めていく
さてヨリドコロを作った後は、対外・対内的に浸透化させていく必要があります。
その目的は、定義したヨリドコロをみんなに共通認識してもらうところです。
そのためロゴマークを作ったり、商標を取ったり、広告やキャンペーンを実施したりと顧客をはじめとするあらゆるステークホルダーに発信していきます。
【拡大】→継続的な発信して定着化
発信は一過性ではなく、継続的に実施する必要があります。
誰でもYOUTUBE CMや看板を何回か触れたりしただけでは、ブランドを記憶したり、ましてやそのブランドの提供価値を理解できないですよね。
継続的に発信する上では、顧客がブランドと出会ってから購入に至るまでの顧客接点を洗い出していきます。
そしてそれぞれの特性を活かしてどのような情報や体験を提供するのか、全体像を設計することが重要です。
その上で複数のタッチポイントにおいて全て同じブランド価値を提供を続けて、常に同じ約束事を果たしていきます。
顧客は一貫したブランド体験を与えられることで、徐々にブランドのセイリエンスが構築されていって、想起しやすい状態に持っていくことができます。
ブランドマネジメントは大切
ブランド価値を作っても、それを継続的に発する必要があるのは前述の通り。
その際覚えておいてほしい用語として「ブランドマネジメント」があります。
ブランドマネジメントとは、ある商品やサービスについて顧客が持つイメージや印象を管理・維持し、ブランドの認知量や質を継続的に担保するための戦略的な取り組みを指します。
ここで重要なのはただ長期的に継続し管理・維持だけでなく、その効果が最大化するようにしなければならない点です。
ブランドマネジメントを実施する人はやはり豊富なブランディング・マーケティングの知識が必要なので、例えば外部からブランドマネージャーを招聘したり、新たにクリエイティブに詳しいコミュニケーションデザイナーを雇うというケースもあります。
いずれにせよ最終的なゴールは、ブランドの強固なイメージの形成です。
>ブランドマネジメントとは?
【知識編】ブランディングの種類を覚えよう
世間的に「〇〇ブランディング」という多様な種類のブランディングがあります。
ここでは一般的によく使われるブランディング種類についてお伝えします。
ちなみに下記に紹介するのは、あくまで一例です。
ブランディングのタイプは様々な形態があり、それぞれの要素を組み合わせたり、新しい形態を創造することもできます。
企業ブランディング
企業ブランディングは会社全体に対してブランディングを行うことです。
企業自体が持つアイデンティティや価値観を明確にするとともに、顧客に対してそれをどうブランド価値として見せていくかを戦略的に考えます。
その際、魅力的なブランドイメージと構築するという視点が大切です。消費者や社会にアピールすることで企業イメージを形成して、自社の魅力的なイメージを構築します。
当然ながら類似した製品やサービスを提供する他社との差別化が図れ、市場競争力が強化されます。企業ブランディングは、企業の長期的な戦略となるため、計画的かつ継続的に取り組む必要があります。
採用ブランディング
企業が自社ブランドを再定義して構築。それを魅力的な企業イメージをアピールすることで、優秀な人材獲得を目指すのが採用ブランディングです。
企業が魅力的であればあるほど、より採用母数も増えて、その採用候補者のなかから優秀な人材を選ぶことができます。
対内的にも社員が自社のブランドイメージに共感し、自社で働くことに誇りを持つようになって社員の定着率の向上にも繋がります。
プロダクトブランディング
プロダクトブランディング「商品」や「サービス」に対してブランディングを行うことです。
製品やサービスについて、独自性や特徴をアピールし、消費者に対して魅力的なブランドイメージを構築することを指します。
重要なのは「企業」ではなく、「特定の製品」単位に対して、ブランド価値を構築することです。
パーソナルブランディング
パーソナルブランディングは対象が「個人」になります。
つまり個人=自分自身をブランド化し、自己の価値を高め、自己表現をすることを目的にしたブランディングのことです。
パーソナルブランディングは、さまざまな場面で役立ちます。例えば就職活動やビジネスにおいて重要な役割を果たします。
個人が自分自身を商品として捉え、自分自身を他者にアピールするための手法であり、
まとめ:ブランディングは経営戦略ですよ。
ブランディングは大事だとは思っているけれど、マーケティングのように即効性があるものではないので、すぐにやろうとは思わない企業がかなりと多いです。
しかし長期的な視点に立った際には、ブランディングは「選ばれる企業」になるため大切な経営戦略です。
どういった状況でも選ばれる企業というのは、どの企業でも巻き込まれる価格競争から逃れられますし、100年企業を目指す場合は特に早めのタイミングで行うべきことです。