デザインスキルって?18個を厳選してまとめ【←できるデザイナーには必須】

デザイナーとして活躍したい方なら、誰しも「どんなスキルを身につければいいのだろう」と悩むことでしょう。 特に、業界の変化が激しい昨今では、求められるスキルセットも日々進化しています。
僕は、Webディレクターとして7年間、制作現場の最前線でプロジェクトマネジメントを担当してきました。多い時には15件以上のプロジェクトを同時進行で抱え、100案件以上に及ぶデザイン制作案件を統括してきました。そうした経験の中で、様々なスキルレベルのデザイナーと協働し、どのようなスキルを持つデザイナーが特に重宝されるのか、肌で感じてきました。
この記事では僕の実務経験から得た知見に基づいて「現場で本当に求められているデザインスキル」を具体的に解説していきます。
即座にすべてを習得するのは正直難しいです。でも、これらを意識しながら一つずつ確実に身につけていくことで、デザイナーとしての市場価値を高めることができるはずです。
デザイン表現スキル【デザイナーの基礎】
以下ではまずデザインの「表現」に関わるスキルを厳選して紹介します。
01.デザインツールの操作スキル
まずはデザイン制作に欠かせないのがデザインツールの操作スキル。主要なツールとしてはAdobe Photoshop、Adobei llustrator、Adobe InDesign、Premiere、Sketchが挙げられます。最近ではFigmaの人気が高いです。
正直、デザイナーとしてこれらのツールを使いこなすことは当たり前です。大工でいえば、ノコギリも操れないのか?となります。
ツールの操作スキルを高めれば、頭の中で思い描いているデザインを、明確にそして短時間でアウトプットできて、確実にデザインの表現の幅も広がっていきます。これは地道に使いこなしていくことで覚えていくようにしましょう。
02.配色センス
配色センスとは、色の組み合わせ・バランスを見極める能力のことです。
デザインは色のバランスが良ければ良いほど美しく仕上がって情報を効果的に伝えることもできます。なんかデザインがイマイチだな?と思ったらまずは配色は適切か?と疑った方がいいです。
なお色彩理論の知識もあると、配色を考えるときに役立ちます。補色や類似色、トーンや彩度などの概念は理解しておきましょう。またカラーパレットを作成する技術も必要です。
03.タイポグラフィの理解
タイポグラフィとは簡単にいえば、フォントを読みやすく、そして美しくレイアウトする技術のこと。
文字ってデザインの要素として、実はすごく重要なんです。例えば、同じ「おめでとう」という言葉でも、手書き風のかわいいフォントを使うか、シンプルでスタイリッシュなフォントを使うかで、全然印象が変わってきます。
デザイナーとして大切なのは:
- 伝えたい内容に合わせて、フォントの種類を選ぶセンス
- 文字の大きさのメリハリをつけて、読む人の目線を自然に導く工夫
- 余白や行間の使い方で、読みやすさを整える技術
例えば、Webサイトのデザインだと、タイトルは大きめのフォントで目立たせつつ、本文は読みやすいシンプルなフォントを使うなど、メリハリをつけることが大切です。これって、雑誌のレイアウトと同じような考え方なんですよ。
こういった「文字で魅せる」スキルは、デザインの基本中の基本。でも、意外とセンスが問われる部分でもあります。日頃から、お気に入りのサイトやポスターで使われている文字の配置や組み合わせをチェックしてみると、良い勉強になりますよ。
04.コンポージョン・構成
デザインと一口にいっても、カラー、タイポグラフィ、装飾要素、写真など、複数の要素で構成されています。
これらの要素を視覚的なバランスと調和を保ちながら配置することを「コンポジション」と呼びます。コンポジションは、デザインの見やすさや美しさを左右する大切なポイントです。
例えばWebデザインでは、グリッドシステムを活用することが多いです。具体的には、デスクトップでは6カラム、タブレットでは3カラム、スマートフォンでは1カラムというように、デバイスの画面幅に応じて柔軟にレイアウトを変化させることができます。
また、優れたコンポジションには、情報の優先度に応じた視覚的階層の構築が不可欠です。例えば、プロモーション素材であれば、メインメッセージを視覚的に強調し、詳細情報は抑制的に配置するといった具合です。これにより、ユーザーの視線を自然に誘導し、効果的な情報伝達を実現します。
コンポジションの基本原則を習得した上で、独自の表現スタイルを確立していくことが重要です。デザインセンスは実践的経験を通じて醸成されるものなので、まずは基礎的な技術の習得に注力することをお勧めします。
05.レタッチスキル(写真加工)
レタッチスキル(写真加工)も不可欠。基本的な写真の調整(明るさやコントラスト、色味など)ができるようになると、デザインの幅がグッと広がります。
シズル感たっぷりの料理写真や、職人さんを渋く演出したり、写真の持つ魅力を最大限に引き出すことができます。
写真加工のスキルを身につけるなら、まずは「Photoshop」や「Lightroom」の基本操作から始めるのがおすすめです。
なぜこの2つかというと、プロの現場でも、フリーランスの方でも、ほとんどの人がこれらのソフトを使っているからです。そのため、これらを使いこなせるようになると、仕事の幅も広がります。
写真加工の技術が上がってくると、例えば…
- ちょっと暗くなってしまった写真を自然な明るさに
- 人物写真の気になる部分をキレイに修正
- 商品写真をより魅力的に見せる
といったことができるようになります。
最近では、InstagramやTikTokなどのSNSで写真や動画を投稿する機会も増えていますよね。実は、こういった普段の写真投稿でも、基本的な加工テクニックがあると見栄えが良くなるんです。
06.設計スキル(プロトタイプ作成のスキル)
デザインの現場では、アイデアを具体化するためのプロトタイプを作成することが求められます。
デザインの最初の段階では、しばしば頭の中にあるアイデアを手書きのスケッチで書き出しますが、その後、アイデアをより具体化するために「ワイヤーフレーム」と呼ばれる「骨組み」を作成します。
ワイヤーフレームは、デザイン全体のレイアウトやユーザーインターフェース(UI)の構造を示して、どの要素がどこに配置されるか、ユーザーがどのように遷移するかをイメージしながら作ります。
昨今はFigmaやAdobe XDなどのツールを使用することが多いので、これらのツールを使いこなせるのはデザイナーとしては必須スキルです。
なお設計スキルで特に重要なのは、ユーザーの行動を常に意識すること。例えば、ECサイトならば商品を探して、詳細を確認し、購入するまでの一連の流れがスムーズに行えるか。必要な情報にたどり着くまでの手順は適切か。操作方法は直感的で分かりやすいか。こうした点を丁寧に確認しながら作り込んでいきます。
07.プログラミングスキル
Webデザイナーはプログラミングスキルも必要になってきます。「なぜデザイナーがプログラミングスキル?」と思うかもしれませんが、現場にたてば分かるのですが、プログラミングを理解しているとデザイン実装時の技術的制約を理解している事になるので、実現可能なデザインを作成できます。つまり、実装時の手戻りを減らすことができるのです。
HTMLとCSSの基本知識は当然ですが、JavaScriptについても理解していると、Webサイトにインタラクティブな機能も実装できます。
またプログラミングスキルは奥が深く、PHP、Ruby、Pythonなどのサーバーサイド言語や、Node.js、React、Vue.jsなどのフレームワークの知識、外部のデータやサービスをデザインに組み込むAPIの知識もあるといいです。
08.ユーザビリティ/アクセシビリティ
デザインの世界では「見た目の美しさ」と同じくらい大切な要素が2つあります。それが「ユーザビリティ」と「アクセシビリティ」です。
ユーザビリティとは簡単に言えば「ターゲットとなる特定のユーザーに向けて最適化」することです。
- 例えば、10代向けのアプリなら、若者が使いやすいUIデザイン
- 例えば、高齢者向けサービスなら、大きな文字とシンプルな操作性
つまり、「誰のために作るか」が明確で、そのターゲットにとって使いやすければOKというわけです。
もうひとつアクセシビリティは「誰もが使えるデザイン=できるだけ多くの人が使える」を重視する考え方です。
- 目が不自由な方でも読み上げ機能で内容が分かる
- 手の不自由な方でもキーボードだけで操作できる
- お年寄りから若者まで、誰でも困らない
つまり、年齢や障害の有無に関係なく、すべての人が情報や機能を利用できるようにすることが大切なんです。
デザイナーとして大切なのは、この2つのバランスを考えることです。ターゲットユーザーにとって使いやすく、かつ、可能な限り多くの人が使えるデザインを目指す必要があります。
非デザインスキル【上流に求められるスキル】
デザイナーとして成功するためには、デザイン表現だけでなく、非デザインスキルも同時に磨くことが書かせません。
僕の経験上、デザイン表現にのみ注力している人は、ビジネスという視点からデザインを捉えることができていない場合が多く、ただ手を動かすだけのデザイナーになってしまいます。
そうしたデザイナーは、ビジネスの現場で『インパクト』を生み出すことができないため、その結果、年収も頭打ちになることがほとんどです。デザイナーとしてキャリアを一段階上げたいと考えるなら、ビジネス視点を持ったスキルは確実に身につけておくべきです。
なおここ紹介するスキルはデザイナーだけでなく、非デザイナー(例えばWebディレクターや経営者、コンサルタント)も身につけるべき10のスキルを紹介します。
01.コミュニケーション能力
デザイナーには、クライアントやプロジェクトメンバーとスムーズにコミュニケーションをとる能力が求められます。具体的には、例えば「私はこういうデザインがしたい」と自分のアイデアを分かりやすく伝える力や、逆にフィードバックを否定的な感情を抱かず素直に受け入れる姿勢です。
一緒に仕事をしたいと思うデザイナーは、やはりコミュニケーション能力が高い人です。
02.プロジェクトマネジメントスキル
プロジェクトマネジメントは、タスクをこなすだけではなく、さまざまな要素を調整しながらプロジェクト全体を統括し、最高のパフォーマンスを引き出していく必要があります。
プロジェクトマネジメントスキルは本当に多岐にわたる能力が求められます。
- プロジェクトのゴールを定めそこに至るまでの工程を計画し、全体の進行状況を管理する「スケジュール管理」
- 限られた時間と人材というリソースを最適に配分し、効率的な進行を実現する「リソース管理」
- 問題やリスクが発生した際には迅速に対応する「リスク管理」
- プロジェクトの進行状況や結果を報告し、必要に応じてクライアントやステークホルダーにフィードバックを行う「報告・調整能力」
プロジェクトの成功には、チームメンバー間の円滑なコミュニケーションが不可欠です。それぞれの専門性を活かしながら、共通の目標に向かって協力し、優れた成果を生み出していくのがプロジェクトマネジメントです。
03.デザイン判断力
デザインは必ず届ける相手がいます。それはクライアントであり、そのサービスを使うユーザーたち。だからこそ自分の表現したいデザインを追求するのではなく、彼らが本当に求めているデザインを実現する必要があります。
優れたデザイン判断力とは、このような視点から的確な判断を下せる能力といえます。それは単に「見た目が良いか悪いか」という表層的な判断ではなく、クライアントのビジネス目標は達成できるのか、ユーザーにとって本当に価値のあるデザインなのか、そしてブランドのコンセプトにしっかりと沿っているのか。
このように、冒頭から説明してきたデザインの表現力はもちろんですが、より上流的・本質的な部分まで見据えた判断ができることが、デザイナーには求められます。
04.知覚力
デザインのトレンドや技術の進歩を把握し、それらを自分のデザインに取り入れる能力が求められます。また、ユーザーのニーズや市場の動向を察知し、適切なデザインを提案することも大切です。
05.ビジネスセンス
デザイナーはビジネスの目的や戦略を理解し、それに沿ったデザインを提案することが求められます。具体的にはクライアントの属する市場がどこにあって、どう言ったビジネスモデルで成り立っていて、そこにはどんなニーズやターゲットがいるのか?そういった「市場感」を理解する力です。ビジネスセンスがあれば「どういったデザインが刺さりそうか?」と含めて表現を考えることができます。
06.マーケティングスキル
マーケティングスキルはビジネススキルとは違って具体的に「どう売るか?」という視点をちゃんと持っているかどうかということ。
世の中のクライアントがデザインに求めていることは、「カッコイイデザイン」ではなくて「課題解決」です。
そしてその大半が売上げを増やしたい、採用エントリーを増やしたいだったりします。だから「成果=売る」という部分が非常に求められるのです。
そのためには世の中のニーズや市場の動向を把握するだけでなく、商品・サービスを効果的に売り込むための手法やプロモーション戦略を理解・実行するできるスキルも踏まえる必要があります。
Google Analyticsといった分析ツールを使いこなす
07.コンテンツ作成力
デザイナーは魅力的なコンテンツを作成する能力が求められます。これには、ビジュアル要素だけでなく、テキストや動画、インタラクションなど、さまざまな形式のコンテンツを組み合わせて、ユーザーにとって魅力的な体験を提供することが重要です。具体的には、情報収集やアイデア出し、コンテンツの企画・制作、デザインや文章での表現力が含まれます。
08.コンセプト設計力
デザインを作る時には、必ずコンセプトを作ります。
それはデザインの根本的なアイデア、また方向性を示す上で重要で、プロジェクトメンバーやクライアントはコンセプトを最上位概念として全体のデザインを作成していきます。
だからデザイナーは「コンセプトを考える力」が求められます。そのためにはプロジェクトの目的設定、さらにターゲットユーザーの明確化、クリエイティブ思考力とともに効果的なストーリーテリング・・・といわゆるビジュアルを言語化する能力も求められるます。
そしてできるデザイナーほど「コンセプト」と「ビジュアル」に齟齬がなく、綺麗に噛み合ったデザインを作っています。
09.プレゼンテーションスキル
デザイナーは、自分のアイデアやデザインをクライアントやチームメンバーに説明し、理解してもらう必要があります。効果的なプレゼンテーションスキルを持つことで、デザインの価値を伝えることができ、プロジェクトをスムーズに進めることができます。
10.ブランディングスキル
デザイナーにとって「ブランディング」という視点の理解は非常に大切なスキルです。ビジュアル要素だけでなく、企業や商品の個性やストーリーを理解し、それをデザインに反映させる能力が求められるからです。
ブランディングはロゴデザイン、カラーパレット、タイポグラフィ、パッケージデザイン、ウェブサイトデザインなど、さまざまな要素が連動して機能します。これらの要素を一貫性のあるデザインで表現することで、企業や商品の認知度を高め、消費者の信頼や好感度を向上させることができます。
デザイナーとして頭一つ抜けるには「非デザイナスキル」を学ぼう
これまでデザイナーとして身につけるべきスキルを紹介してきました。
ただもしあなたがデザイナーのなかで、「クライアント・企業から求められるデザイナー」になるには、デザインの表現スキルよりも、非デザイナスキルを伸ばしていくように努力しましょう。
なぜならデザインはあくまでも「課題解決」のツールであって、その目的達成のために経営者・マーケターなどさまざまな人たちと協業する中で、幅広い知見が求められるからです。
とにかく市場価値の高いデザイナーになるためにも必要です。