デザインに「論理的」って必要なの?論理的に詰めるデザインは最強?

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実際の悩み:

デザインを作るときに感性や直感に頼りがちで、デザインの根拠や意図を論理的に説明することが苦手。ディレクターに「どうしてこのデザインにしたの?」と質問された時に、言葉に詰まってしまうことがある。

この記事では上記のように、実際にデザイナーからあった質問のアンサー記事になればいいと思っています。

デザインは「論理」と「感性」をバランスよく

デザインに「論理」という視点を含めるだけでも、デザイナーの多くはもっと活躍できるデザイナーになれると思ってます。

いいデザイナーは「直感」と「論理」という2つをバランスよく持っています。

感性とはデザイナー独特の個性やアイデアだったりして、新しい視点を生み出す厳選になるので、デザインに独自性をもたらします。

一方で、論理は直感を正しい方向に導くというか、より安定的に感性を扱えるようにするいわば「統率する」役割があって、デザイン全体をより体系的に・計画的に作ることができます。

デザインを「論理的」に作るべき理由

01.感性だけに頼らずにデザインできる

悩みにもありましたが、僕はこれがとても大事だと思っています。

というのも、「表現」はとにかく上手なのに、じゃあそれを「説明してみて」という段になると、急に口籠るデザイナーが非常に多いです。

そういう子たちは、感性だけに頼って作っていくことが多くて、彼らに圧倒的に足りないのは、デザインを論理的に詰める作業だと思います。

論理的に詰めるというのは、デザインの各要素(色、レイアウトなど)をいわば「選択する」ときに、単に感覚的な好みではなく、「論理」の声に基づいて「組み立ていく」という作業です。

例えば、感性的には「黄色がすごいこのサービスには合いそうだ」と思ったとしても、そこに論理がないと「黄色がいいと思ったから」とふわっとした理由になりますよね。

でもそこに論理を持ち出してきて、「黄色はビタミンカラーで、元気かつ活発な印象。貴社のビジネスの厳選は“溌剌”とした印象だから」というように説明が入ると、感性に根拠が生まれてきます。

それをもっとおしゃれにするとしたら、「今回の色はカラフル。その理由は、さまざまな色も互いに打ち消し合うわけではなく、どんな色であっても隣り合う色で美しく輝くことを表現したい」としてみる。

そうすると自分自身、迷わずデザインを作れると思うんです。もちろんそこに「論理」があるわけですから、誰かに説明・提案する時にも納得感が生まれます。

02.根拠を持ちながらデザインができる

デザインの論理的アプローチにおいて、“マーケットの視点・マーケティング視点”をもちながら、手を動かせると強いです。具体的に言うと、市場動向・トレンドだったり、類似サービスのデザイン調査(競合調査)だったり、ニーズ分析だったりが、“できている状態”でデザインを作る、と言う意味です。(←デザインをする前に一通りしておくといいです。)

なぜなら、こうした事実やデータに基づいたデザインであれば、そこには個人的な感情や偏見を脇に置いた、“客観性”が生まれるからです。そして客観性が生まれると、今後は人に説明する時にも納得してもらいやすくなります。デザインはクライアントに“提案”しなければならないことを考えると、説得力はとても大事です。

つまりは「根拠」のあるデザインができるようになるわけで、根拠を持ってデザインするとは、各デザイン要素に対して明確な理由や目的を持っている状態です。

デザインの理想としては全ての表現に「根拠」があって、説明できると強いからこそ、デザインを利用するターゲットのニーズ、動機、行動パターンをデザインをする前に具体化・定義する癖があると、できるデザイナーになります。

03.批判的思考が持てる

先ほど論理は、直感を正しい方向に導くという話をしましたが、論理的なデザイナーは自分のデザインに対して「批判的になれる」というのも特徴です。

批判的になるとは、「デザインの理屈は本当に正しいのか」「課題の正しい解決策になっているか」など、要は「自分のデザインを常に疑う姿勢」をもてると言う意味です。

デザインの現場では自分のクリエイティブを客観的かつ分析的に評価する能力を意味し、これは単に否定的な意見を持つことではなく、デザインの各要素を理論的に検証し、改善点を見つけ出す、むしろポジティブなプロセスです。

例えば感性のままデザインをすると、必ず突き当たるのが「このデザインって本当に方向性として合っているんあろうか?」(カラーリングからフォントやタイポグラフィーの選択など)

こういうときに批判的な視点を持っていれば、自分のデザインに対して、一定の距離感を持ちながら眺めて評価できます。例えば下記のようなポイントで。

  1. デザインの目的ってなんだっけ?
    →デザインが解決しようとしている問題や達成しようとしている目的は何か、ターゲットは誰かを明確にすることが重要です。
  2. ターゲットの特性ってどんなんだっけ?どういう印象を与えてあげたほうが良さそう?
  3. デザインの各要素がこれらの目的やターゲットににどうに寄与しそう?
    →「色」「レイアウト」「フォント・タイポグラフィ」「素材」などおかしなところはないか
  4. 情報要素の優先順位づけは正しくなされている?

ここで大切なのは「さまざまな視点を持てるか」と言うところです。

つまり「判断する」ためには、判断要素が必要です。そしてそれらの要素と自分のクリエイティブとを比べたときに、デザインに問題がないかを確かめることが自分自身でできるわけです。

多くの場合はそれをディレクターが担当するケースがありますが、これ自体をデザイナー自らができるととても強いです。

【実践編】こういう「論理的な力」を身につけよう

1. デザインの根拠や意図をしっかり説明する力

デザインの根拠や意図を論理的に説明するスキルを向上させるには、理論と実践の両面でのアプローチが必要です。

まず理論面ですが、デザイン原則、色彩理論、タイポグラフィなどの基本的な知識を深めて、デザインの意図を論理的に説明できるようになるべきです。

実践面では兎にも角にも、各デザインに対して“根拠”をつねに明確にしながら作るべき。例えば、特定の色やフォントを選んだ理由、レイアウトの決定に至ったプロセスなどの言語化ですね。これをすると「なぜこのデザインにしたのか?」という点についても自分自身でもちゃんと理解しながらデザインができます。

もし可能ならフィードバックを積極的に求めるのもいいです。ディレクターや同僚、デザインコミュニティからのフィードバックを通じて、自分のデザインの強みと弱点を理解し、それを改善に繋げればより目的に合致するデザインになります。

2. クライアントの要件やビジネス目標の理解する力

この力は、クライアントが期待する具体的な成果や目指すビジネスの方向性を正確に把握する力です。(それが結局は正確なデザインアウトプットにつながるので)

プロジェクトが始まる前は必ずクライアントとミーティングがあると思います。皆さんはそのとき、彼らのビジネスモデル、競合の状況、ターゲット顧客の行動、あるいは彼らが所属する業界のトレンドは把握した上で打ち合わせできていますか?

もしできてないなら、すぐにでもやるようにしてください。

なぜならデザイナーはクライアントが「業界内でどのように位置づけられるべきか」「他社とどう差別化するか」「ターゲットが欲しい情報は何か?」こうした仮定を持ちながら、デザインの話ができるためです。

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Hee

地方でWebディレクター。コンセプトメイキングや情報設計を含めて上流工程から制作業務に携わっています。コーポレートサイト、ECサイト、自治体サイト、ブランドサイト、グラフィックなど他ジャンルを経験。多いときには20案件をもつことも。デザインメンターでは複数のデザイナーに対するデザインディレクションの経験、ブランディング提案の経験から学んだことを発信しています。